この記事では1969年に放映されたタイガーマスクについてまとめました。
幼少期に見ていたタイガーマスクですが、初放映は昭和44年ですから、今から50年も昔なんですよね。今回記事を作成するにあたり第1話を見返してみましたが令和のいま見てもある種の新鮮さがあり楽しめました。
私がどのような点に注目したのか記事にまとめました。
タイガーマスクは令和の今見ると逆に新鮮です
タイガーマスクとは
「タイガーマスク」は1969年に日本テレビ系列で放送されていたアニメです。この作品は、あの梶原一騎の原作で、辻なおき画で漫画として連載されていました。
物語の全体像は、次のような感じです。
孤児院で育った伊達直人は「虎の穴」と呼ばれる悪役レスラーの養成所で特訓をし、タイガーマスクと名乗るプロレスラーとなります。
悪役レスラーとして戦いを続けるタイガーマスクでしたが、ファイトマネーの一部を孤児院に寄付するようになります。
ある時、自分が育った孤児院である「ちびっこハウス」が窮状にあることを知り、それまでよりも多くの金が必要となります。それまでは「虎の穴」にファイトマネーの半分を上納していましたが、その分も「ちびっこハウス」に寄付せざるを得なくなるわけです。
そのためタイガーマスクは「虎の穴」から裏切者とみなされ、刺客につけ狙われるようになります。
「虎の穴からつけ狙われるのなら、せめて『ちびっこハウス』の子供たちに恥じない戦いをしたい」という思いから、タイガーマスクは正統派レスラーへ変わる決意をします。
それまでの戦い方が染みついたタイガーマスクが様々な苦悩や苦戦を経験しながら成長していくわけです。
これがタイガーマスクの大まかなストーリーになります。ストーリーの全体像としては、単なるプロレスアニメということではなく、主人公タイガーマスク、伊達直人の人としての成長物語というのが大きな軸になっているわけですね。
YouTubeにて第1話が無料配信されていますので、リンクを張っておきますね。この動画は、どうやらYouTube以外のサイトで視聴できないようになっているみたいなので、リンクを張り付けるだけにしておきます。

作画が「明」と「暗」を鮮明に描いている作品
第1話をご覧いただければわかると思いますが、作画がかなり時代を感じさせますよね。
何と言っても1969年ですから。今から50年前(!)の作画で、技術論なんて知らない素人の私でも「今よりは技術的に未発達な部分があったんだろうな」と思える感じになっています。
でも、この作品をみると、「技術」って実のところそれほど重要ではないのかもしれないなぁと思えるから不思議です。
もしかしたら私の年齢のせいかもしれませんが、この作品を見ても特に違和感を感じないんですよね。ちゃんと作品の内容が伝わってくる。
もしかしたら、今時の作画で作り直すより、よほどいろいろなものが伝わってくるかもしれません。
当時の時代背景を映し出すには、あの作画でよかったんだ、と思えます。あの時代の「明」と「暗」を色濃く表現できているのかもしれないぁと思えてなりません。
私も生まれていませんでしたが、自分の幼少期って、そんな時代の名残が結構あったので、今作が放映当時の様子を伺い知ることはできますもんね。
当時って、戦後のつらい時期を乗り越えきって少し経ったくらいの時代で、多分日本の中は相当活気があったんだと思うんですよ。それがあのプロセス会場のシーンとかを見ると伝わってくるんですよね。
それと対照的なのが、孤児院でのシーン。伊達直人の幼少期もそうですし、現代の(健太たちが出てくる)シーンも同じです。
何故そう感じるのか、説明は難しいのですが、一つには色使いとか、象徴するものの記号化がうまくいっているからじゃないかと思います。
色使いについてはご覧いただくしかありませんが、象徴するモノの記号化というのは、例えば次のようなものです。
「明」:飛行機、車・スポーツカー、会場に詰め掛けている観客
「暗」:孤児院(「ちびっこハウス」)、割れた窓ガラス、子供たちの寝室
スポーツカーは伊達直人が「キザ兄ちゃん」として「ちびっこハウス」を訪れる際に乗っていきますよね。今時、主人公をあんな車に乗せないですよ、多分。でもあれこそが当時の富の象徴然としたものだったんじゃないかと思います。
それと対照的なのが「ちびっこハウス」です。特に割れた窓ガラス(テープで補強されてます)とか、子供たちの寝室(雑魚寝部屋)が当時の生活水準とか貧しさみたいなものを連想させてくれますね。
「暗」の部分にこそ当時そして戦後の日本を感じることができる
私は自分の子供の頃の記憶をわりと覚えていて、今の暮らしと比べたら本当に貧しかったなぁという印象がすごく強くあります。
それほど物もありませんでしたし、車はお金持ちが持つものだというイメージをずっと持っていました。
だから何となく、タイガーマスクで表現されている「暗」の部分(あるいは「明」の部分の裏返し)は、タイガーマスク放映当時やそれ以前の戦後日本を感じることのできる表現だなぁと思えてなりません。
それに加えて、一番の「暗」といえるのは、実は主人公伊達直人の生き様ですよね。孤児院で育ち、何の因果か「虎の穴」にスカウトされ、悪役レスラーとなってしまう。完全に「闇」です。
一方でファイトマネーを孤児院に寄付したり、正統派レスラーに転向するなど、一見「明」の部分が描かれるわけですが、その見返りとして「虎の穴」からの刺客に狙われ、苦悩することになるわけです。
いまの日本だとこういう生き方を描いても、多分理解されないでしょうけど、当時の日本ではまだまだこのような生い立ちですとか、苦労や自己犠牲的な生き方に共感する空気があったんじゃないでしょうか。
私は今でも日本のそういう部分が好きなので、タイガーマスクのような作品を見ると共感し、物語に入り込める分、楽しめるんですよ。ただのエンターテイメントではなく、人の生き方を学べる作品として見れちゃうわけです。
声優について、ちょっとコメント
タイガーマスク、ご覧いただければすぐにわかると思いますが、主演は富山敬。これは結構覚えている方も多いでしょう。
健太は野沢雅子(!)。私は覚えていました。やっぱり野沢雅子って、悟空というより私はこういうキャラクターの方が好きなんですよね。
アナウンサーの野田圭一は認識ありませんでした。私的には(一休さんの)新右衛門さんなんですけど。
あと、ルリ子ですが、第1話から第78話までは山口奈々。そして第79話からは野村道子(!)でした。野村道子といえばしずかちゃんかワカメちゃんなんですが、こういう雰囲気のアニメでどんな演技されているのかはちょっと聞き直したいですね。(子供頃は何気に気づいていたかもしれませんが、完全に失念しておりました)
まとめ
1969年から放映されていた「タイガーマスク」についてまとめてみました。
この作品、本当に古いアニメ作品の一つなわけですが、テーマ的には今でも色褪せない内容だなぁと思いました。
それでいて、物語の構図は単純明快な部分があるので、子供でも楽しめるというのが秀逸だと思います。私も子供の頃はそういう部分を見て楽しんでいました。
いつか無料配信があったら全話見直してみたいなぁと思っています。
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